この記事には広告を含む場合があります。
記事内で紹介する商品を購入することで、当サイトに売り上げの一部が還元されることがあります。
無料画像を利用する上で知っておきたい著作権や肖像権などの権利について説明する。無料画像サイトのライセンスに明記されていない場合でもこれらの権利は発生しているためライセンス違反とは別に権利を侵害してしまう可能性がある。よって無料画像を利用するにはライセンスの他にこれらの権利について理解する必要がある。
著作権法などは2018年7月のもので最新の情報と異なる可能性があります。ご了承ください。
目次
無料画像と著作権
無料画像を利用するには著作物に対して発生する著作権について理解する必要がある。著作権は著作権法で定められており違反した場合は刑罰を科される場合もある。
著作権法(ちょさくけんほう、昭和45年5月6日法律第48号)は、知的財産権の一つである著作権の範囲と内容について定める日本の法律である。
引用:著作権法 – Wikipedia
著作権侵害は犯罪であり、被害者である著作権者が告訴することで侵害者を処罰することができます(親告罪)。著作権、出版権、著作隣接権の侵害は、10年以下の懲役又は1000万円以下の罰金、著作者人格権、実演家人格権の侵害などは、5年以下の懲役又は500万円以下の罰金などが定めれれています。
引用:著作物を無断で使うと? | 著作権って何? | 著作権Q&A | 公益社団法人著作権情報センター CRIC
著作権とは
著作権とは、著作物の使用許可を与えたり、財産として所有する権利のことである。写真やイラストなどにも著作権がある。
知的財産権のひとつ。コピーライトとも呼ばれる。著作物を他人に使用させる許可を与えたり、著作物を財産として所有したりすることのできる権利。
引用:著作権 – 意味・説明・解説 : ASCII.jpデジタル用語辞典
著作権には「著作権(財産権)」と「著作人格権」の二つに分けれる。
著作者の権利は、人格的な利益を保護する著作者人格権と財産的な利益を保護する著作権(財産権)の二つに分かれます。
引用:著作者にはどんな権利がある? | 著作権って何? | 著作権Q&A | 公益社団法人著作権情報センター CRIC
著作権の発生要件
著作権は登録などの手続きをしなくても発生する権利である。すべての無料画像に著作権が発生しているため無料画像を利用するときは常に著作権を侵害するリスクが伴う。
特許権、意匠権、商標権などは登録が権利発生の要件であるが、著作権の発生要件について登録等を権利発生の要件とするか否かについては立法例が分かれる。ベルヌ条約は、加盟国に無方式主義の採用を義務付けている(ベルヌ条約5条2項、無方式主義)。なお、日本には著作権の登録があるものの、ベルヌ条約の加盟国であることもあり発生要件ではなく、あくまでも第三者対抗要件であるに過ぎない。
引用:著作権 – Wikipedia
著作物に対して「著作権」を認める際の考え方は大きく「方式主義」と「無方式主義」に分かれる。「方式主義」とは、著作権が発生するには「C」表記や著作物としての登録などの方式が要求されるという考え方である。一方、「無方式主義」とは著作権の発生のためにはいかなる方式も要せず、著作物の誕生と共に著作権も発生するという考え方である。
引用:無方式主義(むほうしきしゅぎ)とは – コトバンク
著作権の譲渡と放棄
著作権(財産権)は譲渡や放棄が可能であるが著作者人格権は譲渡も放棄できない。著作権を放棄した画像であっても著作者人格権は著作者に残るため著作者の意に反した改変などは権利の侵害になる可能性がある。
著作者の権利のうち、著作者人格権以外の著作権(財産権)は、契約によって他人に譲り渡すことができます(第61条)。
引用:著作権の譲渡とは – 著作権関連用語 Weblio辞書
著作者人格権の放棄の可能性についてはベルヌ条約には規定がなく、日本の著作権法にも規定はない。
引用:著作者人格権 – Wikipedia
原則として権利(ただし財産権)を放棄することは自由なので、権利者により権利が放棄されれば法による保護を認める必要性は消滅する。
引用:パブリックドメイン – Wikipedia
著作者人格権とは
著作者人格権とは著作物に対する著作者の思入れを守る権利である。著作者人格権は、公表権、氏名表示権、 氏名表示権、 同一性保持権、名誉声望保持権に分かれる。同一性保持権は画像の改変にかかわる権利である。
著作者人格権(ちょさくしゃじんかくけん)とは、著作者がその著作物に対して有する人格的利益の保護を目的とする権利の総称である。
引用:著作者人格権 – Wikipedia
公表権とは
著作物を公表するかどうか決める権利。著作者の同意で公表されると公表権は消滅する。財産権を譲渡した場合は著作物の公表に同意したことと推定される。
公表権とは、未公表の著作物(同意を得ずに公表されたものも含む)を公衆に提供又は提示する権利のことをいう(著作権法18条、ベルヌ条約には規定がない)。
引用:著作者人格権 – Wikipedia
著作者人格権の一つで、まだ公表されていない自分の著作物について、それを「公表するかしないかを決定できる権利」(無断で公表されない権利)です(第18条)。
引用:公表権とは – 著作権関連用語 Weblio辞書
氏名表示権とは
変名を含む著作者名を表示するしないを決定する権利。著作者の利益を害する恐れが無ければ省略できる。
氏名表示権とは、著作物の公表に際し、著作者の実名若しくは変名を著作者名として表示、又は著作者名を表示しないこととする権利のことをいう(著作権法19条)。
引用:著作者人格権 – Wikipedia
同一性保持権とは
同一性保持権とは著作者の意に反した改変を禁止する権利である。改変を許可するライセンスに著作者が同意することで改変を可能としている。
同一性保持権(どういつせいほじけん)は、著作者人格権の一種であり、著作物及びその題号につき著作者(著作権者ではないことに注意)の意に反して変更、切除その他の改変を禁止することができる権利のことをいう(日本の著作権法20条1項前段。以下、特に断らない限り、引用法令は日本のもの)。
引用:同一性保持権 – Wikipedia
名誉声望保持権とは
著作者の名誉又は声望を害する改変の伴わない利用は権利の侵害となる。
著作物の改変を伴わない場合でも、その利用態様によっては表現が著作者の意図と異なる意図を持つものとして受け取られる可能性がある。そのため、著作者の名誉又は声望を害する方法によりその著作物を利用する行為は、著作者の著作者人格権を侵害する行為とみなされる(著作権法113条6項)。
引用:著作者人格権 – Wikipedia
著作権のまとめ
著作権は手続きなしに発生ためすべての無料画像に著作権が発生している。著作権を放棄した画像であっても著作者人格権は放棄も譲渡もできないため著作者の権利として残る。そのため利用方法に制限のない無料画像であっても著作人格権を侵害することはできない。ただし、無料画像サイトにアップロードした時点で利用規約の範囲での利用に合意したこととなる。
- 写真やイラストなどの著作物のすべてに著作権が手続きなしに発生している。
- 著作権の一種である著作人格権は譲渡も放棄もできない。
- 著作人格権では著者の意に反した改変を禁止する権利がある。
- 著作者が改変を可能とするライセンスに合意することで改変が可能になる。
著作権以外の権利
写真にはそれ自体の著作権とは別に被写体に対する権利がある。人物、他人の所有物、商標などの被写体に権利があり使用するためには所有者や本人の許可が必要となる。撮影者の権利放棄だけでは写真を自由に扱うことはできず被写体の許可が必要。
- 人物画像と肖像権
- プロパティリリース
- 商標登録されているロゴやキャラクター
人物の場合には肖像権があり使用するためには本人の許可が必要となる。
人物画像と肖像権
写真の著作権とは別に人物が特定できる写真の場合は肖像権が発生する。被写体の許可なしに画像を使用することはできない。著作権を放棄した画像であっても被写体の許可がない場合は商用で利用することはできない。
肖像権
容姿を無断で撮影され公開され嫌な思いをしないように保護を受ける権利。名誉を傷つける行為は不法行為や刑事罰の対象となる。
肖像権(しょうぞうけん)とは、肖像(容姿やその画像など)に帰属される人権のこと。大きく分けると人格権と財産権に分けられる。プライバシー権の一部として位置づけられるものであるが、マスメディアとの関係から肖像権に関する議論のみが独立して発展した経緯がある。
引用:肖像権 – Wikipedi
モデルリリース
モデルリリースとは肖像権使用許諾同意書のことである。モデルリリース取得済の画像では規約の範囲内で利用が可能。モデルリリースを取得していない画像は被写体の許可がないため自由に扱うことができない。人物が特定できる画像でモデルリリースを取得していない場合は本人が特定できないように加工する必要がある。モデルリリース取得済みであっても誹謗中傷や名誉棄損となる利用は人格権の侵害となる。
「モデルリリース」とは、肖像権を持つ被写体にストック素材への使用を同意してもらう肖像権使用許諾書のことです。
引用:モデルリリースとは何ですか?どのように申請・添付するのですか? | PIXTAでよくある質問
エディトリアル画像
エディトリアル画像とは被写体のモデルリリースを取得していない画像のことである。その画像を商用に利用することはできない。「エディトリアル使用のみ」と表記された画像は被写体のモデルリリースを取得していないので商用に利用することができない。
エディトリアル画像とは、ライフスタイル、カルチャー、世界中の問題やテーマ、スポーツやイベント、エンターテイメントなどが撮影された素材で、公共の利益等の目的でしか使用できない画像のことです。エディトリアル画像に写っている人物や物のリリース(同意書)はありません。そのため、エディトリアル画像は、広告などの商用目的や販売目的には使用できません。また、非営利組織でも同様です。
引用:エディトリアルコンテンツの使用目的|写真素材なら「写真AC」無料(フリー)ダウンロードOK
無料画像サイトとモデルリリース
人物が特定できる画像を使う場合モデルリリースが必須となるが、無料画像サイトの多くはモデルリリースについて明記していない。規約にモデルリリースについては一切触れられていない場合が多い。明記されていない場合自由に使えないと考えた方がよい。pixabayではモデルリリースは投稿者に個人が直接問い合わせる必要があるとしている。
商用利用可能、著作権表記不要、改変自由な無料画像サイト「Pixabay」
以下のブログでも無料画像サイトの肖像権、商標権などの問題について述べている。PixabayやUnsplashの人物画像が商用利用できないとしている。ただし投稿者にモデルリリースの確認が取れれば問題ないが、投稿者に連絡がつかないこともあり現実的ではない。
Free photos of People are NOT free
Most countries do not allow you to use photos from free photo sites like Pixabay or Unsplash if they depict people. Before you ask, all websites are concerned: personal and corporate.
引用:Is it safe to use photos from Unsplash, Pixabay and other free photo site?
以下は無料画像サイトのモデルリリース表記の有無の一覧である。海外サイトはほぼ全滅。ビジトリーフォトはモデルリリースについての明記はないが人物画像を商用利用可能としているため問題ないと思われる。無料で人物が特定できる画像を使う場合は、ぱくたそ、足成、ビジトリーフォトに限られてくる。海外サイトは一般ユーザーが写真を投稿できるため肖像権や商標権を侵害している可能性が高い。
ぱくたそ | あり |
足成 | あり |
ソザイング | なし |
フォトスク | なし |
ビジトリーフォト | なし*1 |
Pixabay | なし |
Pexels | なし |
Unsplash | なし |
StockSnap.io | なし |
*1:モデルリリースの明記はないが人物写真を商用利用可能と謳っているため利用可能と考えられる。
商用で人物画像を利用する場合は、無料画像で危険を冒すよりモデルリリースがはっきりしている有償サイトの画像を利用したい。
肖像権のまとめ
写真には著作権とは別に被写体の肖像権がある。人物が特定できる写真には肖像権があり商用などで使用するためにはモデルリリースを取得する必要がある。人物が特定できる無料画像を利用する場合はモデルリリースが取得済みであることを確認する必要がある。エディトリアル画像は商用で利用できない。海外の無料画像サイトのほとんどがモデルリリースを明記していない。
- 人物が特定できる写真には被写体の肖像権がある。
- 肖像権のある写真を利用する場合はモデルリリースを取得する必要がある。
- モデルリリース取得済みであっても人格権を侵害することはできない。
- 海外の無料画像サイトはモデルリリースの明記がない。
プロパティリリース
プロパティリリースとは自分以外が所有する被写体を商用利用する許可書のことである。
認識できる場所、建物、またはその他のプロパティ(ペット、自動車、芸術作品など)を含むコンテンツを Adobe Stock に提出する場合、プロパティリリースへの記入が必要になる場合があります。この法定書式には、プロパティの所有者、またはプロパティを企業が所有する場合は会社代表者による署名が必要です。プロパティリリースとは、プロパティの所有者が被写体を識別し商用目的に使用することに同意する書面による許可書です。リリースがない場合、写真を商用目的で使用することはできません。
引用:Adobe Stock のプロパティリリースと保護のガイドライン
プロパティリリースとは、自分以外の個人・法人が所有・管理、あるいは権利を保有する被写体(建物・敷地や、ペット、アート作品など)が含まれる場合、その被写体の所有者にストック素材としての販売を同意してもらう許諾書のことです。
引用:プロパティリリースについて | PIXTA Channel
- 著作権で保護されているアート、本などの芸術作品
- 競走馬、ペット、など他人が所有する動物
- テーマパーク、動物園、歴史的建造物などの建物
- 他人が所有する建物
- 特徴的な形状やデザイン性のある製品
- 商用撮影に規制のある場所
上記のようなものが被写体の場合プロパティリリースが必要になる。ただし被写体が特定できないレベルであればプロパティリリースは不要。詳しくは下記引用のリンクを参照。
すべての所有物の写真でリリースが必要になるわけではありません。特定できる特徴のない一般的な家屋や内装が被写体であれば、問題ありません。
引用:Adobe Stock のプロパティリリースと保護のガイドライン
屋外の建物
以下は、著作権法 第46条(公開の美術の著作物等の利用)である。これによると屋外のに設置された著作物は利用できる。ただし複製する場合や美術品の著作物をコピーして販売することは禁止されている。美術品の写真を販売することも禁止。敷地内や屋内の写真は権利侵害の可能性が高いため注意が必要。
屋外に設置された美術の著作物又は建築の著作物は,方法を問わず利用できる(若干の例外あり(注6))。
~中略~
(注6)公開の美術の著作物等の利用の例外
(1)彫刻を彫刻として増製し,又はそれを公衆に譲渡すること。
(2)建築の著作物を建築として複製し,又はそれを公衆に譲渡すること。
(3)屋外に恒常的に設置するために複製すること。
(4)もっぱら販売目的で美術の著作物を複製し,又はそれを販売すること。
引用:著作物が自由に使える場合 | 文化庁
撮影が禁止されている敷地内
敷地の外から建物などを撮影することは法律的に問題ないが、撮影禁止場所の敷地内で無断で撮影すると権利侵害となる。
敷地内や建物内に入って写真を撮影する場合、敷地の所有者や管理者によって「撮影禁止」とされているのに、無断で撮影しちゃうのは法的にNGよ。許可が必要な場合は許可を取ってね。たとえ公園であってもよ!
~中略~
敷地や建物の所有権・管理権を侵害していることになるから、見つかると、止めるか出て行くかを要求されるでしょうね。また、所有権・管理権を侵害したことを理由に、生じた損害の賠償を請求され得るわ。
引用:建物は著作物か? | 僕と彼女と著作権 | Web担当者Forum
プロパティリリースのまとめ
ストックフォトサイトではプロパティリリースを厳しめ。法律的に問題がない場合でも所有者からのクレームなどのリスクを回避するためと思われる。法律的には敷地外からであれば建物の撮影は問題ない。ただし、他人の敷地内での撮影は権利侵害の恐れがあるため注意が必要である。
- 他人の敷地内での撮影は許可が必要
- 敷地外からの撮影は法律的に問題ない
商標登録されているロゴやキャラクター
写真に商標登録されたロゴやキャラクターなどが写っている場合に商標権を侵害する可能性がある。
商標権
ロゴやキャラクターなどを独占的に使用できる権利。著作権とことなり登録の手続きが必要。
商標権
知的財産権のひとつ。自社の商品と他社の商品とを区別するための文字、図形、記号、色彩などの結合体を独占的に使用できる権利。特許庁に出願、登録することで、商標権として保護の対象となる。商標権の存続期間は10年だが、更新も可能である。
引用:商標権 – 意味・説明・解説 : ASCII.jpデジタル用語辞典
写真に登録商標が写りこんでいる場合商標権を侵害している可能性がある。
このことから写真に登録商標が写り込んでいる場合、どのように映り込んでいるのか、映り込んでいる割合はどの程度か、はっきりと登録商標を認識することができるのか、また実際の商品や役務との関係でどのように使用されるのか等の観点から登録商標が映り込んだ写真の使用が商標権侵害に該当するかどうかを綿密に検討する必要があります。
引用:登録商標が映り込んだ写真の商標権の扱い | 商標登録はファーイースト国際特許事務所
商標権のまとめ
無料画像に登録商標が写りこんでいる場合は商標権の侵害になる可能性がある。とくにロゴなどがはっきりとわかる場合は注意したい。
- 登録商標が写りこんだ写真は商標権を侵害する可能性がある。
海外サイトの著作物
海外の著作物は条約によって保護されている。
外国の著作物について
海外の著作物は条約によって保護されている。
著作物は、国境を越えて利用されるため、世界各国は、条約を結んで、お互いに著作物や実演・レコード・放送などを保護し合っています。このような国際的な保護は、著作権は「ベルヌ条約」と「万国著作権条約」、著作隣接権は「実演家等保護条約」と「レコード保護条約」などによって行われています。我が国はいずれの条約にも加入しており、世界の大半の国と保護関係があります。
引用:外国の著作物の保護は? | 著作権って何? | 著作権Q&A | 公益社団法人著作権情報センター CRIC
ベルヌ条約
国際的な著作物の保護を目的とした条約。「内国民待遇」が採用されているため海外の著作物であっても日本で与えられる保護以上の保護が与えられる。
「文学や美術などの著作物の保護の万国同盟設立に関する条約」。1886年にスイスのベルヌ(ベルン)で締結されたのでこう呼ばれる。現在の事務局もベルヌに置かれている。これまでに7回改正された。著作物の国際的な保護を目的としており、保護同盟を組織した加盟国に所属する国民の著作物には同国民と同じ待遇を与えること、著作権の効力は手続きを必要としない発生(無方式)主義にすること、著作者の生存期間や死亡後の一定期間、著作権は保護されることなどを原則とする。
引用:ベルヌ条約 – 意味・説明・解説 : ASCII.jpデジタル用語辞典
内国民待遇と相互主義
著作権や著作隣接権の国際的保護に関しては,原則として,他国民を自国民と差別せず同等に待遇する「内国民待遇」が採用されています。したがって,条約締結国のひとつを本国とする著作者の著作物またはその国において最初に発行された著作物は,他のすべての条約締結国において,それぞれの国民が享有するのと同じ権利を享受しうることとなるのです。
引用:講義録 著作権法 (11)
ベルヌ条約締結国では「無方式主義」を採用し手続きなしで著作権が発生する。
著作者人格権の世界基準
世界基準とことなり日本では改変を広い範囲で禁止している。無料画像では改変を許可したライセンスに著作者が同意することで改変を可能としている。
- 日本の著作者人格権は世界基準とことなる。
- 世界的には名誉声望を害する改変を禁止している。
- 日本では著作者の意に反したと広い範囲で改変を禁止している。
ここで、皆さんに理解していただきたいのは、世界的には、著作者人格権のうち同一性保持権は、日本の著作者人格権とは基準が異なる、ということです。日本の著作者人格権は、著作者の意に反する改変について同一性保持権を広く認めています。引用:【CCPLv3.0】著作者人格権(同一性保持権)に関する議論 | クリエイティブ・コモンズ・ジャパン
どの国の法律が適用されるか
一般的には著作権が侵害された国の法律が適用される。よって海外サイトの無料画像であっても日本の著作権法が有効になる可能性が高いため著作者人格権を侵害してはいけない。
仮に,日本を本国とする著作物について, アメリカで侵害行為が行われた場合,どちらの著作権法が 適用になるのでしょうか?(ケース1) 逆に,アメリカを本国とする著作物について, 日本で侵害行為が行われた場合はどうでしょうか?(ケース2)かつては,ベルヌ条約5条1項の内国民待遇規定から, 法廷地法(訴訟が提起された国の法)がそのまま適用されると理解されることが 多かったようです。 しかし,最近では, ベルヌ条約5条2項がこの問題について定めていると解されています。 この条文の解釈についても,学説上の争いがありますが, いずれの説をとっても, 「行為地」の国内著作権法が適用されるという結論になると されています。
引用:SuperTAINS News No.5 [Page.2]
非常に一般的な話をすれば、国際的な要素がある著作権侵害訴訟(「国際著作権訴訟」と私は呼んでいるわ)は、著作権侵害が行われた場所で起こされる。弁護士はこの原則を著作権法の「属地主義」と呼んでいる。もちろん、これでは、疑問がわいてくるわね。「インターネット上の著作権侵害に対処する場合、著作権侵害が起きた場所をどうやって判断するのか?」って。
引用:国際著作権訴訟の原則:裁判はどこの国で開かれ、どの国の法律が適用されるのか? | Moz – SEOとインバウンドマーケティングの実践情報 | Web担当者Forum
国外著作物のまとめ
海外の著作物は条約で保護され条約締結国の法律で保護される。よって海外の無料画像サイトを利用する場合であっても日本の著作権法を守る必要がある。海外サイトの画像を利用する場合でも著作人格権を侵害してはならない。
- 国外の著作物は条約によって保護されている。
- ベルヌ条約締結国では手続きなしで著作権が発生する。
- 著作権が侵害された国の法律が適用されるのが一般的である。
まとめ
無料画像サイトを何の知識も無しに利用すると著作権などの権利を侵害する可能性がある。ここで説明した内容は最低でも理解しておきたい。
ライセンスのチェックポイント
著作財産権は譲渡可能なためサイトのライセンスに合意することでその範囲ないで利用可能となる。著作者の意に反した改変を禁止している同一性保持権は譲渡ができないため改変可能とするライセンスに著作者が合意することで改変可能としている。肖像権や商標家は著作権とは別に発生するためそれぞれの権利を侵害してはならない。著作権、肖像権、商標権の権利を守りつつライセンスで許可された範囲で無料画像を利用する。
- 商用利用
- 著作権表記
- 改変
- モデルリリース
- 禁止事項
商用利用
著作物を商用で利用する場合は著作財産権が関係する。譲渡が可能な権利であるため著作者が無料画像サイトのライセンスに合意していれば利用者は著作物をライセンスの範囲内で商用利用することができる。
著作権表記
氏名表示権では著作者の利益を害する恐れが無ければ省略可能としている。無料画像サイトのライセンスにクレジット、著作権表示が不要とあれば著作権表記が不要となる。
改変
同一性保持権では著作者の意に反した改変を禁止している。ただし改変を許可するライセンスに著作者が合意することで改変を可能としている。
モデルリリース
人物の特定できる写真ではモデルリリースの取得が必要。モデルリリースを取得していない画像は商用利用できない。
禁止事項
著作者の名誉又は声望を害する利用や改変は著作者人格権とベルヌ条約で禁止されている。被写体の名誉を傷つける行為は人格権の侵害となる。登録商標が映り込んだ画像は商標権の侵害となる可能性がある。
権利を侵害しないために
サイトの利用規約に表記されていない場合でも著作権、肖像権、商標権を侵害してはならない。権利を侵害した画像を利用した場合は著作者ではなく利用者が罰せられる。よって、モデルリリースがはっきりしていない画像や有名なロゴやキャラクターなどが映り込んだ写真は権利侵害の可能性があるため使用してはならない。海外サイトではモデルリリースを明記していないことが多いため注意が必要。もちろんのことであるが無料画像サイトを利用する場合は必ず最新のライセンス、利用規約の範囲で使用すること。
- 最新の利用規約に沿って使用する。
- モデルリリースがはっきりしない写真は使用しない。
- 有名なロゴやキャラクターが写りこんでいる写真は使用しない。
無料画像に伴うリスク
無料画像サイトに権利を侵害した画像がアップロードされていた場合は利用者の責任となる。特に海外の無料画像サイトでは一般人による画像の投稿ができるため専属カメラマンの投稿しか許されないサイトより危険度が高い。権利侵害画像が運営のチェックをすり抜けた場合利用者が権利を侵害することになる。
顧客に納品するWebサイトや大規模プロジェクトの場合は有料のストックフォトサービスなどを利用することおすすめする。大事なプロジェクトで権利侵害のリスクを抱えないように安全なWeb素材を使用したい。
参考に筆者がクリエイター登録しているストックフォトサービスを紹介する。アップロード時の審査がかなり厳しいので安心して商用利用できる。画像分の予算を必要経費としてはじめから見積もりに含めておこう。